パッケージ(ORACLE)のオーバーロード

ITコーディネータのシュウです。

DSC_2529

3月も後半に入りましたが、気温の寒暖差がまだ結構ありますね。歳もそれなりに取ってきたので、気温の変化に体がついて行かず、体調を崩しやすくなってきた気がします。花粉も結構飛んでますし!

また、体だけでなく、住まいについても長く住んでいるといろいろなところが傷んできますよね。家電製品などが調子が悪くなると、妻が私に対して、「せっかくそれなりの学校の電気工学科を出たんだから、何とかならないの?」 と言いますが、あまり機械いじりなどが得意でない私は、結局何もできないでお手上げ状態になることがままあります。
そんなとき、「実際の生活にはなんも役に立たないんだから!」と、妻の厳しい~ 一言。
一応、僕は、ソフトウェア開発者なんだけどな~ (ΠΔΠ)

前回、ORACLEのパッケージについて簡単に取り上げてみましたが、続きとして、今回はパッケージのオーバーロードの機能について取り上げてみたいと思います。

<本日の題材>
パッケージ(ORACLE)のオーバーロード

オーバーロードとは、同じ名前のサブプログラムを定義できる機能です。JavaやC++などのオブジェクト指向言語にもオーバーロードという仕組みがあり、同名のメソッドや演算子を複数定義し,プログラムの文脈応じて,その場面に合ったメソッドや演算子を選択させることで,内部的な処理の手法が違うものに対して同一の処理手法を提供することができます。
パッケージのオーバーロードも同じような意味合いであり、同じ名前のサブプログラムを複数定義しておくことで、パラメータの数や順序、データ型が異なっている場合でも、同じ名前のサブプログラムを呼び出して実行することができます。

簡単な例を作成してみます。

例)
前々回で使用した商品マスタ(syomst)について、商品の金額を検索するのに、パラメータとして商品CDを渡して検索するのと、商品名を渡して検索するのを同じサブプログラムで定義して実行してみます。
ただ、よくよく考えると、商品CDと商品名はともにVARCHAR2型であり、今回の例としてはパラメータの型が違うものである必要があるため、SEQNOというINT型の項目を追加して、SEQNOで検索するのと、商品名で検索するのを同じサブプログラム名で定義してみたいと思います。

まず、商品マスタテーブルに「SEQNO」項目を追加します。

ALTER TABLE SYOMST ADD SEQNO INT;

alter_table_syomst

「SEQNO」項目には、商品CD(syo_cd)でソートした順の番号を設定します。

UPDATE SYOMST SET
  SEQNO =
        (SELECT A.SEQNO
             FROM
             (SELECT
                 syo_cd
              ,  ROW_NUMBER() OVER (ORDER BY SYO_CD) AS SEQNO                       FROM syomst) A
            WHERE A.syo_cd = SYOMST.syo_cd);

blog62_upd_seqno

更新後のデータを見てみます。

SELECT * FROM SYOMST
ORDER BY SYO_CD;

blog62_select

 「SEQNO」が追加され、SYO_CD順に番号が振られていることが確認できます。

それでは、この商品マスタから商品の金額を検索するのに、商品名で検索するのとSEQNOで検索するのを同じサブプログラムで定義するパッケージを作成します。

CREATE OR REPLACE PACKAGE pack_test2
IS
    PROCEDURE syomst_price(p_syo_name VARCHAR2);
    PROCEDURE syomst_price(p_seqno INT);
    op_price NUMBER := 0;
END;
/

パッケージの本体部分は、

CREATE OR REPLACE PACKAGE BODY pack_test2
IS 
  PROCEDURE syomst_price(p_syo_name VARCHAR2)
  IS
  BEGIN
    SELECT price INTO op_price
      FROM syomst
     WHERE syo_name = p_syo_name;  

    DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(op_price);
  END syomst_price;

  PROCEDURE syomst_price(p_seqno INT)
  IS
  BEGIN
    SELECT price INTO op_price
      FROM syomst
     WHERE seqno = p_seqno;

    DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(op_price);
  END syomst_price;
END;
/

これを実行(コンパイル)すると、
cre_pack_over

パッケージは作成されました。
それでは、実際に実行してみます。
最初に、商品名「キャベツ」で検索します。
※プロシージャの中でDBMS_OUTPUT.PUT_LINEを使用して金額を出力するかたちにしていますので、SQL*Plusで実行する場合には、初めにSERVEROUTPUTシステム変数をONにします。

SET SERVEROUTPUT ON
BEGIN
pack_test2.syomst_price('キャベツ');
END;
/

exec_pack2_syoname

 160円というキャベツの金額が表示されました。

次に、このキャベツのSEQNOは「9」なので、「9」の値で検索してみます。

BEGIN
  pack_test2.syomst_price(9);
END;
/

exec_pack2_seqno

先ほどと同様に、160円というキャベツの金額が表示されました。
同じ pack_test2.syomst_price というサブプログラムを実行しますが、パラメータの型を認識して、自動的にどちらのプロシージャを実行するかを判断しているということですね。

ちなみに、最初にやりかけた、商品CDと商品名というどちらも同じVARCHAR2型のパラメータを渡すものでちょっと試してみます。

CREATE OR REPLACE PACKAGE pack_test3
IS
    PROCEDURE syomst_price(p_syo_cd VARCHAR2);
    PROCEDURE syomst_price(p_syo_name VARCHAR2);
    op_price NUMBER := 0;
END;
/

CREATE OR REPLACE PACKAGE BODY pack_test3
IS
  PROCEDURE syomst_price(p_syo_cd VARCHAR2)
  IS
  BEGIN
      SELECT price INTO op_price
          FROM syomst
       WHERE syo_cd = p_syo_cd;

       DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(op_price);
  END syomst_price;

  PROCEDURE syomst_price(p_syo_name VARCHAR2)
  IS
  BEGIN
       SELECT price INTO op_price
         FROM syomst
       WHERE syo_name = p_syo_name;

       DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(op_price);
  END syomst_price;
END;
/

このパッケージは、コンパイルはできますが、実行すると「PLS-00307」のエラーが表示されて実行はできません。

BEGIN
  pack_test3.syomst_price('キャベツ');
END;
/

exec_pack_err

このように、オーバーロードが可能となるためには、パラメータの数やデータ型の違い、またファンクションの場合はリターンするデータ型などの違いだけでも必要になるということです。

今日は以上まで

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パッケージ(ORACLE)

ITコーディネータのシュウです。

IMG_0142

夜の浦和駅で撮った写真です。サッカーは好きなので、やはりどうしても地元の浦和レッズに関心が行きますね。昨年は第1ステージは優勝でしたが、年間では3位、ナビスコ杯はベスト8、天皇杯やゼロックス杯は準優勝と、頑張ってはいるんですが、あと一歩、なかなか最後勝ちきれずに、悔しい思いをしたファンが多かったのではないでしょうか。今年は、是非頑張ってほしいです!

今日は、ORACLEのパッケージについて取り上げてみたいと思います。今まで何度か例で使用してきたDBMS_OUTPUTパッケージや、DBMS_LOCKパッケージなど、ORACLE側で事前に用意されているユーティリティ・パッケージもそれに該当しますが、そのパッケージについて詳しく見てみたいと思います。

<本日の題材>
パッケージ(ORACLE)

パッケージは、複数のサブプログラムを1つにまとめるためのオブジェクトです。プロシージャやファンクションとは異なり、仕様部と本体を別々に作成します。仕様部には本体に含めているプログラム名などをまとめて記述し、本体には各プログラムのソースコードを個別に記述していきます。

●パッケージの構造

  パッケージ仕様部
    PROCEDURE  proc_1 (para_1 VARCHAR2);
    FUNCTION  func_1 (para_2 NUMBER);

 パッケージ本体
    PROCEDURE proc_1 (para_1 VARCHAR2)
    IS
    BEGIN
       …

    FUNCTION  func_1 (para_2 NUMBER)
    IS
    BEGIN
       …

パッケージの場合、この仕様部さえ定義できていれば、パッケージ本体が未完成であっても、コンパイルは正常になされます。このプロシージャ proc_1 を呼び出すプログラムは、proc_1 のパッケージ本体を直接参照するのではなく、proc_1を実行するのに必要な情報をパッケージの仕様部から得ることができるので、プロシージャ proc_1 の本体部が作成されていなくてもコンパイルできるわけです。

パッケージの仕様部の作成は以下のようになります。

CREATE  [ OR REPLACE ] PACKAGE <パッケージ名>
{ IS | AS }
  <仕様部>
END [ <パッケージ名> ] ;

例)
CREATE OR REPLACE PACKAGE pack_test
IS
    PROCEDURE customer_month_purchase(年月 VARCHAR2);
    PROCEDURE customer_total_purchase;
END;

この仕様部の作成の処理を実行すると、

cre_package

パッケージの仕様部は作成できました。

次に、パッケージの本体を作成してみます。本体の作成は以下のようになります。

CREATE  [ OR REPLACE ] PACKAGE BODY <パッケージ名>
{ IS | AS }
  <本体>
END [ <パッケージ名> ] ;

先ほど仕様部を作成したパッケージの本体を作成します。パッケージ名は、仕様部と本体で一致している必要があります。

CREATE OR REPLACE PACKAGE BODY pack_test
IS
    PROCEDURE customer_month_purchase(V年月 VARCHAR2)
      IS
      BEGIN
        DELETE FROM 顧客月別購入履歴
         WHERE 年月 = V年月;
 
        INSERT INTO 顧客月別購入履歴
        (顧客NO, 年月, 購入回数, 購入金額)
        SELECT 顧客NO, TO_CHAR(出荷日,'YYYYMM'),
                            COUNT(DISTINCT 売上NO), SUM(売上金額)
          FROM 売上TBL
         WHERE TO_CHAR(出荷日, 'YYYYMM') = V年月
         GROUP BY 顧客NO, TO_CHAR(出荷日,'YYYYMM');
      END customer_month_purchase;
     
    PROCEDURE customer_total_purchase
      IS
      BEGIN
        DELETE FROM 顧客購入履歴;
       
        INSERT INTO 顧客購入履歴
        (顧客NO, 累計購入回数, 累計購入金額)
        SELECT 顧客NO, COUNT(DISTINCT 売上NO), SUM(売上金額)
          FROM 売上TBL
         GROUP BY 顧客NO;
      END customer_total_purchase;
END;
/

これは、売上TBLのデータから、指定した年月についての顧客の月別購入回数、金額を抽出して、「顧客月別購入履歴」テーブルに登録する「customer_month_purchase」というプロシージャと、売上TBLから顧客の過去のトータルの購入回数、金額を抽出して、「顧客購入履歴」テーブルに登録する「customer_total_purchase」というプロシージャを定義しています。(どちらも一旦データを削除してから登録します)

これを実行すると、

cre_package_body

 パッケージ本体も作成されました。

では、実際に実行してみます。
最初に、パッケージの中の「customer_total_purchase」プロシージャを実行します。

BEGIN
  pack_test.customer_total_purchase;
END;
/

exec_pack_total

 処理結果を確認するため、顧客購入履歴テーブルを抽出します。

SELECT * FROM 顧客購入履歴
ORDER BY 顧客NO;

顧客購入履歴

 次に、パッケージの中の「customer_month_purchase」プロシージャを実行します。

BEGIN
  pack_test.customer_month_purchase('201601');
END;
/

exec_pack_monthl

処理結果を確認するため、顧客月別購入履歴テーブルを抽出します。

SELECT * FROM 顧客月別購入履歴
 WHERE 年月 = '201601'
ORDER BY 顧客NO;

顧客月別購入履歴

データが作成されていることが確認できました。

※なお、パッケージの利点、使用する理由については、ここでは詳しくは記述しませんが、日本オラクル社のOTNのサイトに記載があります。(ORACLE 11g2のマニュアルにそのような説明がありました)
https://docs.oracle.com/cd/E16338_01/appdev.112/b56260/packages.htm#i2408


今日は以上まで

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